所長 佐藤 正宏
明治神宮国際神道文化研究所は、平成20年1月に設立されました。
それまで教学部が担ってきた明治天皇・昭憲皇太后の神徳普及、神道的情操の涵養に加え、聖徳研究・明治神宮史研究を軸とした学術交流、更には宗教間対話や異文化間の国際的交流の充実を図ることを目的としています。
神道は、初詣や七五三にみられるように日本人の生活習慣に根付いて、よき伝統文化を形成しています。明治神宮には海外からも多くの参拝者が訪れていますが、鎮守の杜は、日本人が自らの原点を確認すると共に、外国人が日本の文化を深く理解する上で貴重な場を提供しています。
明治天皇の御製に
とつくにの人に見すべきしきしまのやまと錦を織りいださなむ
とあります。
遙か神話の時代から私たちの祖先が紡いできた「日本」を、この時代において改めて捉えなおし、グローバル化された世界の中での果たすべき役割を考える。
開国から明治維新を経て近代化を成し遂げられた明治天皇・昭憲皇太后をご祭神とし、また、国民のまごころによって約100年前に創られた神社である明治神宮を拠点に、当研究所は活動しています。
所長略歴
- 昭和16年、東京生まれ。小学校3年間はフランスで過ごし、高校時代はアメリカで過ごす。
東京大学経済学部卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行、パリ支店次長、ブリュッセル支店長を歴任。平成7年宮内庁侍従を拝命、平成20年侍従次長を拝命。豊富な海外経験を活かし、天皇皇后両陛下の海外20カ国の公式御訪問に供奉。
平成24年6月退官、同年9月より現職。
平成8年ベルギー 王冠勲章オフィシエ章、平成28年秋の叙勲 瑞宝中綬章、令和元年12月フランス レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ受章。
- 当研究所には、聖徳、明治神宮史などの研究を進める以下の研究者が所属しています。
主任研究員:
© 新潮社写真部
今泉 宜子(Imaizumi Yoshiko)
- 博士(Ph.D.)
- 主任研究員(研究推進課長)
- 専門分野:明治神宮史
昭和45年、岩手県生まれ。東京大学教養学部比較文化論学科卒業後、雑誌編集者を経て、國學院大學で神道学を専攻。神職資格を取得。平成12年より明治神宮に奉職。平成19年、ロンドン大学SOASにおいて明治神宮に関する学位論文で博士号(学術)を取得。平成21年より1年間、フランス国立社会科学高等研究院客員研究員、平成27年より4年間、国際日本文化研究センター客員准教授を務める。現在、同センター共同研究員、國學院大學研究開発推進機構研究開発推進センター共同研究員を兼任。
単著一覧
- 『明治神宮 戦後復興の軌跡』(鹿島出版会)
- 『明治神宮 「伝統」を創った大プロジェクト』(新潮社)
- 『Sacred Space in the Modern City: The Fractured Pasts of Meiji Shrine, 1912-1958』(オランダ・ブリル出版)
- 『明治日本のナイチンゲールたち 世界を救い続ける赤十字「昭憲皇太后基金」の100年』(扶桑社)
- 『明治神宮と青年団の造営奉仕 百年前の青年が伝える「未来」への「歴史」』(日本青年館)
- 『明治神宮 内と外から見た百年 鎮守の森を訪れた外国人たち』(平凡社)
共編著一覧
- 『東京のリ・デザイン』(清文社)
- 『原宿表参道2013 水と緑が協生するまちづくり』(産学社)
- 『明治神宮以前・以後 近代神社をめぐる環境形成の構造転換』(鹿島出版会)
- 『海賊史観からみた世界史の再構築 交易と情報流通の現在を問い直す』(思文閣出版)
- 『天皇のダイニングホール 知られざる明治天皇の宮廷外交』(思文閣出版)
- 『明治、このフシギな時代3』(新典社)
- 『映しと移ろい 文化伝播の器と蝕変の実相』(花鳥社)
- 『みる・よむ・あるく東京の歴史7』(吉川弘文館)
打越 孝明(Uchikoshi Takaaki)
- 修士
- 主任研究員(研究推進課)
- 専門分野:明治天皇・昭憲皇太后の聖徳研究
昭和35年、茨城県水戸市生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程を修了後、同大学助手などを経て、横浜市の公益財団法人大倉精神文化研究所に専任研究員として勤務。平成21年4月より現職。大倉精神文化研究所の客員研究員・理事を兼務。
日本全国に遺されている明治天皇の聖蹟について、本研究所の紀要『神園』に「明治天皇聖蹟の調査と研究」を、明治神宮の社報『代々木』に「聖蹟を歩く」を連載している。NHK-BSプレミアムの「時空超越ドラマ&ドキュメント 美子伝説」やBS-TBSの「皇居千二百年物語」など、テレビ番組の制作にも協力している。
単著一覧
- 『絵画と聖蹟でたどる 明治天皇のご生涯』(KADOKAWA、平成24年7月)
- 『御歌とみあとでたどる 明治天皇の皇后 昭憲皇太后のご生涯』(同、平成26年3月)
- 『明治天皇の聖蹟を歩く 西日本編』(同、平成30年11月)
- 『明治天皇の聖蹟を歩く 東日本編』(同、令和4年1月)
共編著一覧
- 『日本主義的学生思想運動資料集成Ⅰ・Ⅱ』(柏書房、平成19年・20年)
論文等
- 「明治天皇崩御と御製(上)(下)」(『明治聖徳記念学会紀要』復刊25・26、平成10年12月・11年4月)
- 「大倉邦彦と植木直一郎」(『講演集 大倉邦彦と精神文化研究所』、財団法人大倉精神文化研究所、平成14年4月)
- 「瑞穂会の結成および初期の活動に関する一考察―沼波瓊音、黒上正一郎、そして大倉邦彦―」(『大倉山論集』49、財団法人大倉精神文化研究所、平成15年3月)
- 「大倉精神文化研究所所蔵『神典』関連資料」(『大倉山論集』53、財団法人大倉精神文化研究所、平成19年3月)
- 「明治九年の日光行幸と明治天皇聖蹟」(『大日光』81、日光東照宮、平成23年4月)
- 「六大巡幸秘話 全国各地での挿話に見え隠れする、知られざる素顔」(『歴史読本』57-12、新人物往来社、平成24年12月)
- 「明治天皇の御製碑について」(『宮中の和歌―明治天皇の時代― 宮内庁宮内公文書館・明治神宮共催展示図録』、明治神宮、平成26年10月)
- 「産業の振興に寄与した北陸・東海道巡幸」(『明治天皇 その生涯と功績のすべて』、宝島社、平成29年7月)
- 「明治天皇巡幸の記録 時代を作るため、日本をめぐった」(『旅の手帖』42-6、交通新聞社、平成30年6月)
研究員:
中野 裕三(Yuzo Nakano)
- 博士(神道学)
- 研究員(百年誌編纂課)
- 専門分野:神道神学・国学
昭和38年、神奈川県生まれ。國學院大學文学研究科神道学専攻博士課程後期修了。博士(神道学)。
國學院大學神道文化学部非常勤講師、國學院大學研究開発推進センター特別専任講師を経て、平成25年より明治神宮に奉職。
著書『国学者の神信仰―神道神学に基づく考察―』(弘文堂)。『祭神論 神道神学に基づく考察―明治神宮・札幌神社。外宮の祭神』(錦正社)。近年の論文に「星野輝興の祭祀学-神嘗祭と新嘗祭とをめぐって-」(『近代の神道と社会』、弘文堂)、「明治神宮の復興と発展-昭和戦後期の変遷を振り返る-」(『明治聖徳記念学会紀要』復刊第56号)など。
戸浪 裕之(Hiroyuki Tonami)
- 博士(宗教学)
- 研究員(百年誌編纂課)
- 専門分野:近代宗教史・神道史学
昭和53年、福島県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(宗教学)。國學院大學研究開発推進機構ポスドク研究員[伝統文化リサーチセンター配属]を経て、平成24年より明治神宮に奉職。
著書『明治初期の教化と神道』(弘文堂)。主な論文に「島地黙雷の神道論―「神道治教」論を中心に―」(『神園』第11号)、「島地黙雷の政教論―「政教相依」論の展開と「布教」―」(『近代の神道と社会』、弘文堂)、「明治神宮の創建・鎮座と発展―戦前期明治神宮の通史的理解の試み―」(『明治聖徳記念学会紀要』復刊第56号)など。