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【平成27年】

新年号

『代々木』は、明治神宮・明治神宮崇敬会が発行する季刊誌です。

我が国の美しい伝統精神を未来に伝えるため、昭和35年より刊行をつづけております。

明治神宮崇敬会の皆様にお送りしております。

 

[明治神宮崇敬会のお申込み]

座談会 鎮座百年に向けて「杜は人とつながっている」
座談会 鎮座百年に向けて「杜は人とつながっている」

進士 五十八 × 養老 孟司 × 伊藤 弥寿彦

進士 神宮内外苑の時代的、都市的意味も大事だと思いますね。明治神宮造営計画には「和魂洋才」のバランス感覚が認められます。日本の自然風土と多様性原理で内苑の杜を造り、西洋の統一性原理で外苑をデザインしています。内苑はエコロジカルで生物多様性の世界、外苑は銀杏並木でビスタ(眺望)を通してかっこいい。外から文明を移入するときの日本人の態度というか、それが面白い。御祭神と重なりますね。  もうひとつは都市問題。気候変動で、世界のあちこちで洪水や砂漠化がみられます。だから、都市レベルでも水のコントロールや循環が必要だし、ヒートアイランド対策で緑の保全が強く求められているんです。大木が林立する内外苑全体で百ヘクタール規模の緑地の果たす意味は、どんなに大きいか。オリンピックで施設をつくるとき緑と水が循環する構造にしないと、持続可能な東京にはならない。神宮の杜から未来の東京を学んでほしいと思うんです。鎮座百年と東京オリンピックは同じタイミングですから。

 

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進士 五十八(しんじ・いそや)

昭和19年、京都府出身。農学博士、東京農業大学名誉教授。日本学術会議前環境学委員長。明治神宮の杜づくりに当たった上原敬二林学博士に造園学を学ぶ。東京農業大学学長、日本造園学会長、日本都市計画学会長、東南アジア国際農学会長など歴任。著書に『風景デザイン』(学芸出版社)、『グリーン・エコライフ』(小学館)、『日本の庭園』(中公新書)、『日比谷公園』(鹿島出版会)など多数。平成19年、紫綬褒章受章。

 

養老 孟司(ようろう・たけし)

昭和12年、神奈川県出身。東京大学医学部を卒業後、東京大学大学院基礎医学解剖学にて博士課程終了、医学博士号取得。東京大学助手、助教授を経て解剖学第二講座教授。東京大学を定年前に退官。ベストセラーになった『バカの壁』(新潮新書)をはじめ、『庭は手入れをするもんだ 養老孟司の幸福論』(中央公論新書)、『身体巡礼』(新潮社)など著書多数。昆虫採集が趣味で、ゾウリムシが専門。

 

伊藤 弥寿彦(いとう・やすひこ)

昭和38年生まれ、東京都出身。自然映像プロデューサー。米国ミネソタ州立大学(動物学専攻)卒業。東海大学海洋学部博士課程前期中退。西表島で海洋生物の研究後、自然映像ディレクターとして活動を開始し、国内にとどまらず世界各地を取材して映像作品を作成。『生きもの地球紀行』『ダーウィンが来た!』『NHKスペシャル・プラネットアース』などの番組を手がける。趣味は昆虫(カミキリムシ)の研究。曾祖父は初代内閣総理大臣、伊藤博文。

「和食」は世界一の長寿食
「和食」は世界一の長寿食

瑞穂の国でゆうゆう長生き

日本人の主食は「米」です。

和食の味のベースになるのが、ご飯なのです。「日本は長寿のお国」として、世界中でうらやましがられていますが、米の力がなかったなら、これほど長生きできたでしょうか。米の味に合わせて食べてきた、魚、大豆、野菜、山菜、キノコなど、ことごとく健康食だったのです。

古くは日本を「瑞穂(みずほ)の国」と呼びました。

「瑞穂」はみずみずしい稲穂のことですから、日本は「米の国」、ということになります。稲作のはじまる縄文時代の晩期から「米」を作って食べ、暮らして長生きしてきたのが日本人なのです。

私たちは、先祖の体質を受けついでいます。

したがって、食べ物でも、先祖の人たちがとっていた物を中心に食べるのが自然であり、健康にもいい筈です。

 

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永山 久夫(ながやま・ひさお)

昭和9年、福島県出身。食文化史研究家。食文化研究所、綜合長寿食研究所所長。元西武文理大学客員教授。長寿食や健脳食の研究家でもある。主な著書に『和食の起源』『日本人は何を食べてきたのか』(青春出版社)、『なぜ和食は世界一なのか』(朝日新聞出版)他多数。

明治神宮と私
明治神宮と私

山本 陽子(女優)

木から気をいただき、精神統一

編集部:山本さんは、毎日のように明治神宮にいらっしゃるとお伺いしました。 山本:住まいが近く、ここ10年くらい、歩かせていただいています。毎日コースを変えて、1時間くらい。毎朝8時にお祭りがあるのを知らなかったくらい、早い時間に歩くことが多いです。

たくさんの木から気をいただくといいますか、精神統一をするにも、ものすごくいいんです。そして、季節によって違うのがいいですね。いろんな木の変化を見たり、匂いを嗅いだり音を聞いたり。普段スタジオに入っていると感じられないものが感じられること、一人で気ままに歩くことが、気分爽快になるんです。誰にも邪魔されずに、そして杜が見守ってくれているような気持ちになるんですよね、不思議なもので。今日も一日がんばりなさい、って言ってくれるような気もしますしね。

 

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山本 陽子(やまもと・ようこ)

東京都出身。國學院高等学校を卒業後、一般企業に勤めた後、昭和38年に芸能界入りし、現在もテレビドラマや舞台で活躍している。昭和55年、『花埋み』で舞台初主演。平成6年の『おはん』は第19回菊田一夫演劇賞を受賞。

聖蹟を歩く 第16回 明治11年北陸・東海道巡幸(10)
聖蹟を歩く 第16回 明治11年北陸・東海道巡幸(10)

(静岡市)明治天皇は新雪の富士山を仰いで御製を詠まれた

風光明媚の地を東へ

11月5日午前、静岡の行在所を発って程なく、天皇は雪の富士山を拝しました(写真)。馬車の小簾(おす)を巻き上げてご覧になったもので、「流石(さすが)に名山なり」と仰せられ、次の御製を詠まれたといいます(『明治天皇紀』)。

小車(おぐるま)のをすまきあけ(げ)てみつるかな朝日輝くふし(じ)の白雪

 

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打越 孝明(うちこし・たかあき)

昭和35年、茨城県水戸市生まれ。早大大学院に学び、同大学助手や大倉精神文化研究所専任研究員などを経て、現在明治神宮国際神道文化研究所主任研究員および早大非常勤講師を務める。著書に『絵画と聖蹟でたどる明治天皇のご生涯』、共編著に『日本主義的学生思想運動資料集成Ⅰ・Ⅱ』や『大倉邦彦の『感想』―魂を刻んだ随想録―』、論文に「明治天皇崩御と御製 上・下」(『復刊明治聖徳記念学会紀要』25・26)などがある。