【平成29年】
春号
『代々木』は、明治神宮・明治神宮崇敬会が発行する季刊誌です。
我が国の美しい伝統精神を未来に伝えるため、昭和35年より刊行をつづけております。
明治神宮崇敬会の皆様にお送りしております。
明治神宮外苑創建90年記念 聖徳絵画館特別展に行幸啓
明治神宮外苑創建90年を記念して、聖徳記念絵画館では、開館以来初めての特別展「幕末・明治を一望する―近代史を描いた巨大壁画―」を10月22日から11月20日まで開催し、11月11日には天皇・皇后両陛下の行幸啓を賜りました。藤井正弘副館長がご説明役を務め、『践祚』や、勝海舟と西郷隆盛の『江戸開城談判』などを熱心にご覧になりました。
特別展にあわせて全6回にわたるギャラリートークも行われ、さまざまな角度から絵画館の魅力に迫りました。
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和の心~雅楽・武道~ 東京オリンピック・パラリンピックを前に明治神宮から発信 秋篠宮・同妃両殿下がご台臨
第二部終了までご臨席になった
日本の文化を国内外に発信
日本の文化を国内外の人に感じてもらおうと、明治神宮では12月10日、「和の心~雅楽・武道~」公演を明治神宮会館で開催し、秋篠宮・同妃両殿下が台臨され、各国の大使をはじめとする在京の外国人約300人を含む延べ1300人が参集しました。
これは、内閣官房オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の委託事業として、平成28年度オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査の一環として行われたものです。
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明治神宮と私
仁平 圀雄(明治神宮総代・元警視総監)
大学で出会った合気道と師
私が現在、明治神宮の総代をさせていただいているのは、明治神宮武道場至誠館の田中茂穗先生(現・名誉館長)のお陰です。大学卒業間近の昭和30年、本郷の銀杏並木に「合気道同好会」のビラが貼られていたのが出会いでした。早速、七徳堂(武道場)に行ってみると、田中先生ご指導の下、数名の学生が稽古をしており、すぐにその場で参加させていただきました。道着などは持っておらず、卒業するまで丸首シャツにズボンというお粗末な格好で稽古しました。
東京大学合気道同好会がその後、運動会の正式な部になったのは、亀井静香主将(現・衆議院議員)の時です。私が田中先生に教えていただいたのはわずか1年足らずでしたが、卒業以来今日までご厚誼をいただいております。
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仁平 圀雄(にひら・くにお)
昭和8年生まれ。茨城県水戸市出身。同32年、東京大学法学部卒業後、警察庁に入庁。同53年、宮内庁総務課長。平成2年、警視総監となる。公益財団法人徳川ミュージアム業務執行理事、公益財団法人水戸育英会理事等。
代々木の杜の菌のはなし
細矢 剛(国立科学博物館 植物研究部 菌類・藻類研究グループ長)
新属新種の上に!の大発見
明治神宮の調査では、日本の固有種・アオキの落葉の上にある菌が、“特ダネ”的な菌でした。
アオキは日本特産の植物ですから、こういう植物の上には日本固有の菌が出てくるのではと思っていたのですが、1958年にアメリカのコーフという菌類学者は、この葉の上に発生している茶色の小さなきのこをチャイロミキンカクキンの既知種と同定しました。ところがその後、コーフ氏の弟子がもう一度調べたところ、どうもその菌ではない、ということになりました。不思議なことにその弟子は、では何か、ということを書かずに放っておいたため、宙ぶらりんになっていました。
今回、これが大量に採れました。皇居でも大量に採れたのです。ぜんぶアオキです。ものすごくアオキに依存性の高い菌だということがわかりますね。では、もう一度調べてみようということになって調べると、コーフ氏が言った菌ではないということはすぐにわかった。ところが、この周辺の菌を調べてみると、どれとも似ていないんです。さらに驚いたことに、分子系統学の手法で遺伝子情報で比較すると、チャイロミキンカクキンという属(種の上のランク)ですらないだろう、ということも分かったんです。これは、新属新種にするしかない。すごいことです。
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細矢 剛(ほそや・つよし)
昭和38年東京都生まれ。筑波大学卒業後、製薬会社の研究員を経て、平成16年より現職。主な編著書に『菌類のふしぎ』(東海大学出版部)、『菌類の世界』(誠文堂新光社)、『日本のきのこ』(山と渓谷社)等。