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【平成20年】

春号

『代々木』は、明治神宮・明治神宮崇敬会が発行する季刊誌です。

我が国の美しい伝統精神を未来に伝えるため、昭和35年より刊行をつづけております。

明治神宮崇敬会の皆様にお送りしております。

 

[明治神宮崇敬会のお申込み]

現代につながる「五箇條の御誓文」
現代につながる「五箇條の御誓文」

櫻井 よしこ(ジャーナリスト)

「五箇條の御誓文」の内容は、いま読んでもまったく違和感ありません。皆で相談しなさい、身分の上下に関わらず、議論は大いに言って問題を解決しなさい、古い考えにとらわれず、世界に通ずる道理を大切にしなさい、視野は海外に広げなさい、という考えであり、民主主義の根幹をおさえています。

これは、それまでの日本社会と異質のものを表現したものはなく、連綿と日本社会の根幹であった価値観を、そのまま文字にしたものなのですね。

(中略)

 

戦後、日本で行われた教育では、アメリカが民主主義をもたらしたと教えました。私もそう教わってきました。民主主義は日本が自ら勝ち取ったものではなくて、与えられたのもだ、と。でも、実はアメリカよりもずっと前から日本の社会は民主主義的な国家運営、社会運営をしていたことを示しています。

(後略)

 

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櫻井 よしこ(さくらい・よしこ)

ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。米紙『クリスチャン・サイエンス・モニター』東京支局員、日本テレビ「今日の出来事」のキャスター等を経て、現在、ジャーナリストとして広く活躍する。『エイズ犯罪・血友病患者の悲劇』で大宅壮一ノンフィクション賞、『日本の危機』等一連の言動活動で菊池寛賞受賞。新刊に『日本よ、「歴史力」を磨け―「現代史」の呪縛を解く』。平成19年、シンクタンク「国家基本問題研究所」を設立。

十二徳の実践者 「友愛」
十二徳の実践者 「友愛」

大和田 伸也(俳優)

「俳優の道は自分で切り拓け。でも兄としては何でもしてやる。」

(前略)

 

僕が小学校三年のころ、獏(ばく=伸也氏の弟)が幼稚園くらいで、一度だけ「冒険」と称して近所の小高い山に友達と登りに行くときに「危ないからついてくるな」怒ったことがある。後から考えると、やっかいばらいとうか、気になるから邪険にしてしまったのかな、かわいそうなことをしたな、と思いました。ところが最近、お袋とその話をしたら、そのとき連れて行ったよ、と。獏に聞いても「行った」と言う。でも僕の心の中には、弟を拒否したことがすごく心に残ってしまったのですね。「弟のためならなんでもしてやろう」という気持ちになりました。

弟が芸能界という同じ世界に入りたいと言ったときも反対しませんでした。

ただ、こういう世界ですから、俳優としては何も手助けしない。自分で自分の道を拓け、と。そのかわり、兄弟としては何でもしてあげる、そう言いましたし、そうしてきました。……とはいっても、やはり面倒を見てあげたくなって、彼が初めて司会をしたときも、いろいろ注意したりしてました。

(後略)

 

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大和田 伸也(おおわだ・しんや)

昭和22年、福井県生まれ。早稲田大学在学中に演劇を始め、劇団四季を経て、NHK朝の連続テレビ小説『藍より青く』で人気を博す。TBS『水戸黄門』に二代目格さん役としてもおなじみ。現在、テレビ東京系『いい旅、夢気分』のナレーションや舞台演出なども手がけている。妻は女優の五大路子さん。

戦後復興の軌跡 第二回 再建への槌音 インタビュー 私の戦後と明治神宮
戦後復興の軌跡 第二回 再建への槌音 インタビュー 私の戦後と明治神宮

外山 勝志(明治神宮名誉宮司)

名誉宮司は、昭和31年4月1日から昨年(平成19年)7月31日まで明治神宮に奉職されていました。復興50年の歴史とともに歩まれたということになりますね。

 

僕実は、初めて御奉仕したのはもっと早くて、31年2月15日。いよいよ新社殿の建設が始まるというので、仮殿を移築して御霊代をお遷しする仮殿遷座祭が斎行された、ちょうどその日でした。2月ですから、私はまだ大学を卒業していませんでしたけれど、なぜ早くよばれたかといえば、帳簿書類がたまっていましてね。私は商業高校を出ていたので、複式簿記を整備しろということでした。(笑)。すぐに取りかかって全部終えて、それで私は四月から会計をやるのかと思っていたら、次は工事現場にいけと。一日からは、事務所が宝物殿横にある臨時造営部に配属になりました。

(後略)

 

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外山 勝志(とやま・かつし)

昭和7年、北海道生まれ。國學院大學文学部卒業。昭和31年4月、明治神宮に奉職。平成6年3月、第十代宮司に就任。平成19年7月、宮司を勇退。現在、明治神宮名誉宮司、國學院大學理事、國學院大學院友会会長、日本水石協会会長。