御社殿の南側に広がる御苑は、江戸時代に加藤家、井伊家の下屋敷の庭園でしたが、明治時代に宮内省の所管となり、南豊島御料地と呼ばれました。
その後、明治天皇がお身体のお弱かった昭憲皇太后の運動のためにと、遊歩庭園として明治36年頃に整備されたのです。明治神宮の鎮座地が代々木に決定されたのは、この御苑が大きな理由のひとつでした。
昭憲皇太后のために整備された庭園
一般の日本庭園に見られる岩石類の築設物や強度に手入れをした庭木などはほとんど用いず、変化に富む地形を縫って緩やかに落ち着いた小径(こみち)と簡素な小建築を適所に配置し、いかにも伸びやかに自然の中をゆったりと散策しているような気分を充分に醸し出しています。また、菖蒲田も明治天皇のお指図によって、水田を改められたものです。明治天皇がこの地に行幸されたのは明治19年1月の1回のみですが、昭憲皇太后は明治42年6月までに9回行啓になっています。
月 | 開苑時間 | 閉苑時間 |
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3月~10月 | 9時00分 | 16時30分 |
11月~2月 | 9時00分 | 16時00分 |
6月中 | 8時00分 | 17時00分(土日18時00分) |
※年中無休です
御祭神ゆかりの花菖蒲を堪能
造営当時の菖蒲田には花菖蒲が80余種植えられていましたが、現在は、約150種1,500株の花菖蒲が咲き誇ります。この菖蒲田は、全体を一望することができず、小径を歩きながら観賞するように設計されています。途中、四阿(あずまや)や八つ橋などが配され、御祭神ゆかりの趣深い景観に、心まで清められます。
南池を見下ろす景観は格別
明治33年に明治天皇が昭憲皇太后のために建てられたご休所。
戦災により焼失、現在の建物は昭和33 年に再建されたものです。
お茶室となっており、座礼の間と立礼の間があります。
江戸時代から名高い井
加藤清正が掘ったと伝えられる、都内有数の名湧水です。明治神宮の涵養力によって毎分平均60リットルの水量があり、水温は四季を通じて15℃程度と一定し、湧水は一年中絶えることはありません。
水面に映る緑に心癒されて
御苑内にあり、御社殿の南側にあることから名付けられた南池。夏には睡蓮やコウホネの花が咲きます。水源は「清正井」で、南参道の神橋(しんきょう)の下を流れて渋谷川に注いでいます。池の周辺では野鳥が水浴びをする姿や晩秋から初冬には渡り鳥が訪れるなど、神宮の杜の豊かないとなみを感じることができます。
昭憲皇太后がお釣りをされた場所
南地に張り出した「お釣台」があります。
昭憲皇太后はここで釣りをお楽しみになりました。
ある日、赤腹のイモリがかかってお笑いになったことがあり、それをお聞きになった明治天皇は「コイやフナを放しなさい」と侍従へ指示をされたそうです。
昭憲皇太后は、お釣りになった魚はすべて水中に戻されていました。