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コラム「大和心」
タイトル

 地球規模の気候変動や予期せぬ自然災害の発生。ロシアのウクライナへの軍事干渉や、中国の無謀な南シナ海への軍事侵攻。トルコの大規模なクーデター事件、さらにはダッカ、ニース、ミュンヘンでの無差別テロの頻発―等々。国際情勢はまさに混沌、“第三次世界大戦”を連想させる不気味な様相を呈している。

 日本はこれらの諸情勢に、いかに対処すべきか。日本人の心構えは――。時代は、今ようやく“重い腰”をあげて、自らの体制を変えなければという秋(とき)に来ているのではないか。

 こうした国民意識を大きく動かす原因は何であろうか。

 冒頭に列記した諸情勢の連鎖の中で、超大国アメリカの衰退が著しく、日本人の防衛上の“危機感”をつのらせていること、英国のEU離脱問題で国家のあり方が根本的に問われていること。そこに4年に一度のアメリカの大統領選で、トランプ旋風が巻き起り、アメリカの国益第一を唱える国際政治情勢が重なってきた。

 『SAPIO』2016年8月号は、そんな世界情勢と日本の政治状況を取り上げて、

「今こそ国防軍を創設せよ―中国『尖閣占領』でも米国は助けてくれない」

 との特集を組んでいるのは興味深く、注目される。

 日本人の深層の防衛不安はどちらに動くのか。憲法改正、国防軍創設への世論喚起を狙ったといえるだろう。これに皇室問題と大災害時の緊急事態問題を加えれば、改憲の三本柱が明らかになって国民運動の大きなうねりになって行くのではないか。

 しかしこの欄では、もう一つ前の国防に対する国民精神の自立という面から、トランプ大統領候補の日米同盟“破棄”論について考えてみたいので、特集の中の

 古森義久氏(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)の「日本から米軍が引き揚げる日」――アメリカでは、長く、そして広く「日米同盟懐疑論」があった

 の小論を紹介したい。そこには日米同盟論の基礎知識が記されていて、有益だ。同氏のアメリカ側の日米同盟論は次のようである。

 トランプ発言は必ずしも日米同盟破棄論ではない。同盟の欠陥や不公正の指摘であり、その是正がない場合、同盟自体の破棄もありうる、という指摘である。その意味では日米同盟批判だと言える。
 アメリカ側での日米同盟批判は決して新しくも珍しくもない。その内容には大別して3種類ある。

 第1は、最も過激な日米同盟破棄論である。超少数意見であるが、アメリカの孤立主義の伝統反映でもある。(略)

 第2は日米間の不平等、不公正を衝く同盟批判である。この批判は超党派で広範にわたり、水面下で流れてきた。(略)

 第3は日米同盟の縮小論あるいは弱体化論である。これはアメリカ側の事情だけで在日米軍が減り、日本への防衛誓約が弱くなる傾向だと言える。

 オバマ政権は財政赤字への対処として2011年に予算管理法を成立させ、赤字が一定以上に増せば、国防費をその後10年間に最大7500億ドル削減するという方針を打ち出した。米軍部隊も大幅に縮小する方針だ。在日米軍を支える基盤が小さくなっているのだ。
 そのうえアメリカ政府は在日米軍の再編について2006年に日本側と合意した「ロードマップ」で沖縄駐在海兵隊の9000人を日本国外に移転させることなどを決めている。縮小への動きである。

 同氏は、上の3種類の批判から、日米同盟についてのトランプ発言も、これらの3種類の流れを混合させることがわかるとしており、「当初の印象とは異なり、短絡でも無知でもない発言」と明言しているのは、よく認識しておくべきである。(傍線筆者)

 その上で、次のように述べている。

 (略)アメリカのここまでの議論を見ると、中長期的に見て、米軍が日本から引き揚げる日が来てもおかしくない。
 さて日本はどう対応すべきなのか。

 上の表現は、「短期的」にみれば、「ない」が、中長期的には、「引き揚げる日が来ても、おかしくない」と言っていると理解していいだろう。そしてそのときに、 さて日本はどう対応すべきなのか。 と最も重要な“設問”となって、次のような解答の言葉となっている。

 さて日本はどう対応すべきなのか。

 と最も重要な“設問”となって、次のような解答の言葉となっている。

 (略)日本はやはり独自の防衛努力の強化しか選択の道はないだろう。自国は自国で防衛するといった普遍の哲理の実践とでも言えようか。日本は、そんな原点への思考の機会を与えられているのである。

 要するに、中長期的には、米軍が引き揚げる日が来てもおかしくないので、「日本はやはり独自の防衛努力の強化しか選択の道はない」と日本人の精神を鼓舞しつつ、「日本は、そんな原点への思考の機会を与えられている」と激励しているようにも読める。

 しかし、では誰から「原点への思考の機会を与えられている」のだろうか―。

 “普遍の哲理の実践”という語が使われているが、日米間の“普遍”の言葉の意味も併せて考えておく必要があるだろう。(み)

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