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コラム「大和心」
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 今年1月初め、読売に「伝説の93歳局長退任」との小さな記事が出た。アメリカ国防省で超長期戦略を担当し、「生ける伝説」などと称されてきたアンドリュー・マーシャル総合評価局長が退任したとのニュースで“93歳”まで国防戦略を実行する第一線にいたという事実にびっくりした。いったいどういう経歴をもち、どのような実績をもっている人物なのか――。
 記事には、

 マーシャル氏はニクソン政権時代の1973年に現職に就任し、米ソ冷戦時代から一貫して米軍の戦略策定に深く関与し続けてきた。最近では、対中国を念頭に、空・海軍の一体運用と長距離攻撃を柱とする「ジョイント・エア・シー・バトル」構想にかかわった。

とわずかの説明がついていた。たしかに先端軍事技術でそうした報道があったかとも思うが、それ以上は分からず、小さな記事の切り抜きを残しておいたところ、産経(6月11日)宮家邦彦氏のWorld Watch欄で、「ネットアセスメントに注目せよ」と題して“伝説の局長”が扱われていた。

 宮家氏は、昭和28年生まれ、53年外務省入省、中東一課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第一次安倍内閣では首相公邸連絡調査官を務めた経歴があって、米国のプロの戦略思考に通じた人物とみてよいだろう。その説明によると――

 米国防総省にネットアセスメント室(ONA)という部局がある。最近まで室長は今年94歳になる米国随一の戦略思考家、アンディ(筆者注=読売新聞ではアンドリュー)・マーシャルだった。マーシャルは1973年以来40数年、ソ連や中国との競争の趨勢につき、軍事に限らず、より総合的な視点から正確な分析・評価を国防長官に供してきた。ONAを世に知らしめたのは冷戦時代のソ連経済に関する評価だ。当時CIAは一貫してソ連の経済力を過大評価していた。マーシャルは早くから統計経済学などを駆使してソ連経済の脆弱(ぜいじゃく)性を主張し続けてきた。彼の分析の正確さは90年代のソ連崩壊が証明した。ソ連はONAに敗れたといっても過言ではない。
 冷戦終了後マーシャルの関心は中国に移った。90年代末までにONAは「中国が中長期的に強大化し、米国にとって脅威となり得る」と評価した。マーシャルは人民解放軍の軍事評価だけでなく、孫子の兵法から中国経済、社会、人口動向にまで調査対象を広げた。ソ連の例と同様、彼の中国に関する分析は極めて正確だ。

 と。宮家氏は総合戦略評価と日本のあり方について次のように述べている。

こうした総合戦略評価は今後数十年間日本が直面する大国間の戦略的対立・競争の趨勢を事前に把握し、大国間の衝突を生き延びる知恵を出す上で有用と信ずる。それでは何をすればよいのか。

 問題提起として、同氏が理解するネットアセスメントの特徴――対象、目的、形式などを列挙している。それらは日本人が戦略思考を修練するには、大いに役立つだろう。だが、同氏の抱く危惧は、それほど悠長ではない。

しかし、われわれに時間はない。今から中国・日米の戦略的対立・競争の趨勢につき軍事、政治、経済、歴史を包含するネットアセスメントを始めておかないと手遅れになるかもしれない。戦略評価に失敗すれば日本はサバイバルにも失敗しかねない。それだけは避けるべきである。

 今、日本に必要なのは、これらの戦略思考ができて、実行しうる有為な人材の養成というべきか。93歳の局長の活躍はたのもしい感じもするが、逆に考えれば、人材不足ともいえるだろう。米国に比較して日本の現状を知りたいものだ。(み)

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