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コラム「大和心」
タイトル

 國學院大學の神道文科学部で「神道と武道」という授業(選択)を始めたのは、12年前。受講生を年間50名前後とすると、のべ約600人という数となるが、今年度私が定年70歳となることで、この3月で終わる。

 いかなる成果があったか、を記述することは簡単ではない。教育・育成の立場から私が何を心がけ、何を教えたか。教えたかというより、教えようと努力して、私自身が何を学んだかについて、ここに数点列記しておきたい。次に何かを始めるとすれば、この終わりの感慨が役に立つかも知れないからだ。

 まずこの授業の内容について、その目標を記しておきたいが、これも数年の経験を経てできあがってきたものだ。


【テーマ】
神道と武道を学びつつ、現代の武士道を探求し、己の実践の道を探る。

【内容】
文武両道を心がける。合気道と鹿島神流剣術などの武術実技で、敵を知り、己を知る。広くは神道(日本固有の文化)と武道(国防、防衛、護身)を理解して、現代日本および自分のおかれた状況を知る。

【到達目標】
授業は、実修、講義両面で体得して行き、文武両道の実践を目指す。

【実修】
暴力行為にあった時の護身、ころんだ時、事故にあった時の処し方、受身等、ストレス、プレッシャーを受けた時の心のもち方、呼吸法(気鎮め)。基礎的な体力、気力、知力の養成。自分が生きている“今”についての時事認識、先人の武道観、武士道観を学び、現代を考えて、自分の道を探る。


 というもの。これらは大学の講義内容の説明として書いたものである。

 次に年間の授業を通して、武道の実修面でいかなることに重点をおいたか。また気づいた点を列記しておきたい。

 第1の特徴は、体育館(現在工事中のため、この2年間は集会ホールで代替)の柔道場に、鹿島神宮・香取神宮の掛軸(揮毫は頭山満翁)を掲げて神籠(ひもろぎ)を立てて神棚を設けたこと。これは近年海外での研修が増えて大勢を指導する場合の精神的統一をはかる欠かせない設備となっているが、国内においても同様で、神道精神の修養の基礎となる礼儀、清潔、謙譲など心の養成に欠かせないものとなっている。

 この神棚への拝礼を中心にして、次に武士道精神、神道の伝統文化と時事の解説講義、武術・護身の実技の実修の三者を心・技・体で学んでいくことで、日本人として大切なものを守る武道の心が養われてきて、「神道と武道」の共通した基盤ができてくる。

 第2は、毎年初めの授業の際、鹿島神流の國井善彌師から伝えられた真剣を使った演武をしたこと。これは脅しではなく、長い歴史伝統で培われてきた日本刀の真剣味を感じとってほしいからだが、これは受講生には最も効果的で、興味とやる気を惹きつけたようだ。前期と後期の終わりに書いてもらう感想文には、そのときの驚きと緊張が鮮やかに記述されていて、私にとって貴重な記録だ。

 第3は呼吸法の実修。実戦武道の時代では“呼吸を知る”のは極秘であって、やたらと教えることではなかったろうが、現代は、悪意で利用する人でない限り、基本的な呼吸法を習得させた方が、心・身両面の安定が保ててプラスに作用する。胸式、腹式そして丹田呼吸法を少し時間をかけて各自に体得させる。

 その効果は大きく、役に立つものだ。

 精神的に不安定で、どうしてよいかわからない学生たちにとって、意識して行う呼吸の大切さに気づくことは効果的である。感想文の中でも、積極的に自修し、体得したいと強い意欲を示す人が多く、現代の都市大学の学生にとって、必修の実技と言えるかもしれない。

 以上1年間の講義、実修の要点を述べてきたが、最後に祓の太刀の実修も行った。まだ早すぎるし、危険と思いつつ、「神道と武道」との名を冠した実修授業ならば、幣(ぬさ)での祓いならぬ、剣での祓いを知っておいてもいいだろうと思ったからだ。

 学生たちは、みごとに私の期待に応じたのではないか。神道を学び、正気を張り、武道を実践しようとの意志をもって決断し、剣を振って修練していけば、邪気を払う祓の太刀となることに通ずることに気づいたと思う。最後の稽古はそうした気概が感じられた。これは大学生時代の貴重な一つの体験といってよいだろう。

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