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コラム「大和心」
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 昭憲皇太后百年祭の記念事業の一環として、去る3月29日および30日、武道場至誠館において『記念武道大会』を開催した。至誠館の門人は現在約1450名、日々、明治神宮の境内において御祭神の御心に抱かれ武道の鍛練を通じ健全なる国民精神の陶冶(とうや)に励んでいる。武道大会では、弓道科、剣道科、柔道科、武道研修科の門人が、それぞれ、鍛練を積んだ精神と技を感謝の心をこめて御祭神にご奉納した。

 昭憲皇太后様は、平時における世界中の不幸な人々の救済活動のための昭憲皇太后基金をはじめ、日本赤十字社の活動、東京慈恵医院や広島予備病院の医療活動などにたいする思召(おぼしめ)し、さらには女子教育の作興など、国民の見本となる慈愛の御精神を御示しになられた。まさに『和魂(にぎみたま)』の象徴のような御存在であった。
 そのような昭憲皇太后の御歌に次のようなものがある。

 しきしまの 大和心をきたへむと 太刀うちかはす おとのををしさ

 ひとあしも あとにはひかぬ つはものの やまと心も みゆるときかな

 ここには、男子にも勝る雄々しい御心が歌われている。これは、『古事記』の速須佐之男命の昇天に際し天照大神が「卽(すなは)ち御髮を解き、御美豆羅(みみづら)に纒(ま)かして、左右の御美豆羅にも、御鬘(みかづら)にも、左右の御手にも、みな八尺勾璁之五百津之美須麻流之珠(やさかのまがたまのいほつのみすまるのたま)を纒き持たして、曾毘良(そびら)には千入之靫(ちのりのねぎ)を負ひ、五百入之靫(いほのりのゆぎ)を附け、また伊都之竹鞆(いつのたかとも)を佩ばして、弓腹振り立て、堅庭(かたには)は向股(むかもも)に蹈(ふ)みなづみ、沫雪(あわゆき)如す蹶(い)散かして、伊都之男建(いつのおたけび)蹈み建びて、待ち問ひたまはく、何故(など)上來(のぼりきませる)。」と、御女性の身を男装に変えられ、弓と大剣と武具をもって完全武装をされ、高天原が地響きするほどの猛々しい御様子で待機された御姿を思わせるものがある。

 慈しみと和を重んじる御心は、ひ弱な優しさなどではなく、いざというときには慈しみと和を断固として護り抜く力強い御精神に裏付けられていることをしめしている。

 現代では、日本文化というと、「茶道」や「華道」、「おもてなし」や「こころづかい」など、和して優しい性質のもの(和魂=にぎみたま)ばかりが取り上げられるが、それを大事なものとして保全防護する大和魂(荒魂=あらみたま)があったからこそ、和の文化が現代まで継承されてきたということを見直さなくてはならない。価値ある和魂の精神も、大和魂の力強さが伴わなければ、未来へと時代を越えた広がりを持つことは困難になるだろう。

ウクライナの政変に思う
  今般、ウクライナの政変に伴い、ロシアが実力を持ってクリミアに関与した。

 そもそも、ウクライナの政変が起きる直前、ポーランド、ドイツ、フランスの外相等が仲介し、ヤヌコーヴィチ大統領は、反政府側の要求を受け入れ、双方とも合意文章に署名していた。これに基づき、彼は、警察に対し警戒態勢を解くよう命じてKharkowのイベントに参加するため向かった。それを待っていたかのように、反政府側は大統領私邸と政府庁舎を占拠した。その際、強烈な反ロシア反ユダヤを標榜するネオ・ファシストグループが、黒覆面にカラシニコフをもって暴力的占拠を先導した。この極右政党「自由」やロシア政府がテロ容疑で指名手配しているドミトリー・ヤローシュを指導者とする「右派セクター」が暫定政府の防衛と治安の要職についた。

 これに対し、「キエフで起きていることは、ウクライナの憲法に違反した政権奪取、武力による政権の奪取ではないか」というのが3月4日のプーチン大統領の発言である。しかし、欧米諸国と暫定政府側は、プーチンの意見を完全に無視した。これに対し、ロシアは、歴史的戦略基盤とロシア人を保護するために強硬手段をとったのだ。

 近年、欧米が反政府勢力を支援しての中東各国における政府転覆活動ともあわせて考えれば、今回のロシアの取った行動は、一方的に批判をすることはできない。

 重要なのは、武力は厳然たる政治力として有効であるという事実認識であり、それは決して日本と無関係ではないということだ。

 仮に、日本が戦後レジームを転換し、歴史認識を改め、憲法の思想を根本的に改正(例えば大日本帝国憲法に戻す等)し、日米関係を見直すとすれば何が起きるか。それは、ウクライナと同じように、ロシア以上に強烈なる軍事大国である米国の実力関与であろう。

 米フォーリン・アフェアーズ紙による「2013年のベスト・ブック」に選ばれた戦後の日本とドイツの歴史問題を研究した著者でボストン大学国際関係学部準教授のトーマス・バーガー氏は「一般的な米国人の見方は、戦前の日本は軍国主義でヒットラーの同盟国であり、我々を真珠湾で攻撃した国だ。人権や民主主義、自由に基づくのが現代の国際秩序だという立場からすれば、極東軍事裁判はこうした秩序を進展させた大きな成果の一つだ。これに疑問を唱えることは後退であって前進ではない。」(朝日新聞、227日)といっている。米国民の一般的考えを端的に言い表したものである。国際政治において、日本が、歴史認識を見直し、憲法思想を改めるということは、米国の戦略基盤を覆すことであり看過できないということだ。

 軍事的には、沖縄、横須賀、佐世保などの軍事基地は事実上不可欠・代替性のない米軍の戦略基盤である。日本に政変があれば、そのプロセスがいかに合法的で民主的であろうと、米国は自らの戦略基盤の保全を優先するであろう。

 平和的な国民運動や、合法的あるいは民主的手段による変更が可能なのは、武力的実権を握っている者の目こぼしの範疇であり、そのような手段では本質的変更はできない。

 ウクライナの政変に武力が用いられたのも、また、それに対しロシアが武力で対抗したのも、一方が本質的な変化を求め、方や変化を阻止しようとしたからで、社会の大きな変化において必然的プロセスとも言える。

 暫定政府側にとって判断が甘いと思われるのは、ウクライナ軍の精神基盤と欧米の戦略判断であろう。ウクライナ軍は、ロシア軍と戦うような精神気概はないようだ。また、欧米は軍事力をもってロシアに対抗する意志はない。現状では、軍事力の使用に踏み切ったプーチンの意志が勝っている。

 我が国にいては、歴史認識や憲法問題で、ようやく自立性を示そうという意識が国民のなかにも出てきたが、領土問題や拉致問題で「いざとなったら米国に頼む」として、口げんかばかりしている程度では、全く現実的力にはならない。為すべき価値があるのならば、損得や勝ち負けを全く無視して戦うのが大和魂である。この精神の上に知恵を働かせれば力のある政治力となる

 「荒魂」が岩戸隠れのままでは、自国の将来どころか、国際動向の本質さえも見極めることはできない。

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