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コラム「大和心」
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 昨年11月に中国が行った唐突で、強引な東シナ海での防空識別圏(ADIZ)設定について、米国のニューズウィーク誌(日本版)は、「アジアを引き裂きつつある政治的な断層が鮮明になった」と報じた。

 日本はほぼ確実にカウンターバランスの役目を果たすことになるだろう。中国の台頭を寛容に受け入れられる時代は終わりつつある

とコラムニストのロバート・E・ケリー釜山大学准教授は指摘しつつ、日本と中国の歴史的、地理的構図にも言及している。

 アメリカはもちろん中国に対抗しているが、認識されている以上に制 約は厳しい。―略―
 従って私の考えでは、中国の覇権に対する唯一のとりでは日本だ。本当の意味で有能で第一線に立つ国は日本しかない。実際、アジアの歴史において中国の支配に対抗してきたのはもっぱら日本だ。その地政学的構図は今も変らない。

との判断を示しているのは妥当な見方だろう。

 安倍政権は、11月に日本版NSC国家安全保障会議を立ち上げた。ついで12月中旬に、国家安全保障戦略と併せて、防衛計画の大綱(防衛大綱)と中期防衛力整備計画(中期防)を明らかにした。別に首相の諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」を設けて、現憲法下での積極的平和主義と集団的自衛権行使についても検討を重ねてきている。

 海空軍の太平洋進出をにらむ中国を念頭に、遅ればせながら、日本の安全保障戦略が動き出して、これまで以上に陸海空3自衛隊が一体となって、尖閣諸島や南西諸島の防衛にあたる構想が打ち出されることとなったわけだが、果してニューズウィーク誌が“警告”“期待”するような日本の戦略となるかどうか。マスコミ各紙の報じ方をみてみると――。

 平和憲法を逆手にとったような政府の積極的平和主義を支持し、集団的自衛権行使の決断を迫っているのが、読売と産経で、安倍首相が唱え始めた積極的平和主義を「平和主義を取り違えるな」と“警告”を発していて、「このキーワードは、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認をめざす安倍政権の布石」と反対しているのが朝日である。だが、日本を取り巻く安保環境は厳しい。戦争に至らないまでも、不測の事態に備える必要があるといいつつ何ら具体策を出していないので説得力はない。

 読売の社説は、「日本を守り抜く体制を構築せよ――『積極的平和主義』の具体化が急務」との見出しで、「NSC主導で国益を守れ」「『統合機動防衛力』整備を」と主張している。また、「集団的自衛権を可能に」の中で、集団的自衛権の憲法解釈の見直しも残された課題であるとし、安倍政権は、行使に慎重な公明党や内閣法制局との調整に入るべきである、と主張して政治的決断を促している。

 次に、産経の主張は、「中国見据え守り強めよ――残念な『集団的自衛権』見送り」とあり、「戦後防衛政策の転換点」「抑止力に必要な予算を」との小見出しの中で、日米同盟強化と集団的自衛権の関係についてその本質を次のように記していることは注意を要する。

 安全保障の基軸をなすのは日米同盟である。日米共同の抑止力を強化するため、集団的自衛権の行使容認が欠かせないが、政府は憲法解釈でまだ認めていない。
 これらにどう取り組むか、安保戦略などは言及しなかった。安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」で、さきに議論していることが理由とされている。

と不満をにおわしていて、首相の諮問機関(安保法制懇)の結論まちであることが記述されている。

 では、この安保法制懇でいかなる議論がおこなわれているか――。座長代理の北岡伸一・国際大学学長の「韓国はなぜ集団的自衛権を恐れるのか」(『VOICE』1月号)が参考になろうか。一歩進んだ考え方が出ていて、政府、安保法制懇の議論では、すでに、集団的自衛権行使はその是非というより、いつ行使するかの時の問題となっていて、日米同盟強化が先行しているようにも思われる。

 産経が強調する日米共同の抑止力強化は、明快で勇ましい意見だ。しかし将来を見越した「中国の覇権に対する唯一のとりで」としての真の日本の国防力となりうるか否か、独立自主の気概の弱い心根は、他力に頼む弱さもある。大いに議論すべきところだろう。(み)

 

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