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コラム「大和心」
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写真 平成25年10月2日遷御の儀(内宮)

 平成25年(2013)10月は、伊勢の神宮の式年遷宮の時――。10月2日に皇大神宮(内宮)が、10月5日に豊受大神宮(外宮)で浄闇裡(じょうあんり)に遷御の儀が執りおこなわれたことは、国内のみでなく、国際的にみても、極めて意義深いことである。神々のいとなみは、今後徐々に人間社会に浸透してきて民族固有の文化伝統の重みが明らかになってこよう。人知でははかり知れないことではあるが、日本人の神国意識が広くよみがえる機会となったことは確かであろう。

 少なくとも1300年続いてきたこの式年遷宮の歴史伝統から、私たちは何を学び取ることが出来るだろうか――。日本武道は、生死を越えた一心を鍛錬するという教えがあるが、これを機に、遷宮の文化と武道の精神を考えてみたい。

 40年前の遷宮と至誠館の開設
 奇しくも明治神宮至誠館は、昭和48年の60回式年遷宮の年と同じくしてその10月に開設された武道場である。

 伊勢の遷宮のあとに、新旧社殿にお参りさせていただいた感激は、いまも鮮やかだ。

 それは不遜な言い方かもしれないが、一語で言えば、新装なった輝かしい社殿の生きた姿をみて、神々しさを実感しえたといえるだろう。

 至誠館の使命は、戦後日本の精神空白の時代に、伝統文化の真の武道修練を通じて、生きた日本精神をよみがえらせて、国家再興をはかることである。革命破壊的な危機が迫り、戦国乱世的様相を呈してきた国際情勢下、生きた精神教育で人材養成が求められた時代で、その状況は今も変わらず、ますます混沌の中に漂っている。

 10月14日体育の日、武道場の40周年行事がおこなわれた。物故者の慰霊祭では、スポーツ施設のある外苑でなく、内苑での精神道場建設を提唱し、それを実行した伊達巽宮司や神道思想家の葦津珍彦氏等の精神思想の継承が誓われた。また祭典、式典後には、『明治神宮至誠館武道』の記念出版物が配布されて、武道精神の確立と武術修行の両面の必要性が宣言されて、将来にむけての指針が提示された。

維新の精神こそ武道の戦闘力の源泉
 至誠館の武道精神とは、現代の武士道探求で、日本の伝統文化を継承、発展させる精神を指すといえるが、ここには遷宮の伝統文化を、外国の革命(破壊)と比較して、日本の維新(建設)ととらえた葦津珍彦氏の遷宮論の一端を紹介しておきたい。同氏は、武道場至誠館の創設に尽力した人であるが、この維新の思想にこそ、日本武道の戦闘力の源泉があるといえるからである(昭和48年神社本庁発刊の『神國の理想』、「日本の維新と外国の革命―神宮御遷宮の秋に思ふ―」より引用)。

 御殿の古典的な美しさは、神々しい。だがそれは、ただ古いということで意味があるのではない。古い文化財と云えば、古代エジプトのピラミッドとか、ローマ、ギリシャ、中国、印度には遥かに古い壮大な宮殿や寺廟の古文化財がいくらもある。

 御遷宮は、決してただの古文化財の保存ではない。古き文化財の物的施設を保存するのではない。反対に、古くなった御殿を撤去してしまって、まったく新しい御殿を造って献上するのである。御殿のみでなく、御神宝、装束の類にいたるまで、すべてが新しくされる。それは、ただ古き型、古きものを温存し墨守し、愛惜してやまないというのではなくて、新しい生命の復活をもとめる新鮮な精神が、生き生きとして象徴されている。皇祖神の神意を、ただ茫々たる古代への遥かなる記憶として、おぼろげに追憶されるというのではなく、今日唯今の時点において、赫々たる皇祖神の神意を承けられるという、鮮烈な精神が象徴されている。(太字記者)

 と銘記されているのは感慨深い思想表現といえよう。

 そこには日本文化の古くからその動かざるもの、変らざるものがとらえられているが、その動かざる心に通ずることで、自ずから時を同じくして、動くものがみえてくるともいえるのだろう。

 また、40年前の遷宮の時の状況が次のように示されているのは、興味深い記述である。

 昭和48年の秋、五十鈴の川上においては、第60回の御遷宮が行われる。だがこの時代に、日本の人心は、史上かつてないほどの激動をしめしており、「維新か革命か」と云う大きな問題に直面している。それは日本列島内の問題のみでなく、国際的な関連のもとに進行している。このような時代思潮の中にあって、御遷宮を拝する者の一人として、私はこの問題意識を無視することができない。

 とその思いの高ぶりがあらわれている。当時と比較して現代の時代思潮はどうであろうか―。戦後の国家体制の歪みは極限ともいえる状態にきており、国際情勢、そして自然災害を含めた自然環境問題など、一国の革命変革というだけでなく、地球規模の激動変革の時代へと近づきつつあるのではないか――。

 そうした中で、浦安の国、日本列島の命運はいかなるものとなるだろうか。

 武道を通じての真の精神力の涵養とは、そうした危機の中でも動揺せず、革命的破壊をさけて、維新の道をめざして行くものでなければならないと思う。(い)

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