メニュー
明治神宮ロゴ
メニュー
コラム「大和心」
タイトル

 『モサド元高官が語る「国防」の覚悟とは』(別冊正論EXTRA掲載)の元イスラエル諜報特務庁高官イスラエル・グリーン氏と一橋総研代表の鈴木壮治氏との特別対談は、国防、情報体制が隙だらけの日本と、隙を見せずに国防力を完備するイスラエルの国状が明らかにされていて無防備日本の深刻さが増す。

 日本にとっての北朝鮮問題を、さらに緊迫度を高めて、イスラエルにとってのイランの核問題と捉えてみれば、理解はすすむだろう。グリーン氏の国防意識は次のようだ。

 イラン政府は極端に宗教的で過激です。彼らは神と直接対話できると信じていて、その神から与えられた使命がイスラエル人を滅ぼすことだと信じています。ここは強調しておきたいのですが、イラン政府は非常にはっきりと、彼らの目的がイスラエル人、イスラエルという国家をこの世から消し去ることだと言っているのです。彼らは何らかの領土的、政治的権益獲得のためにイスラエルと戦争するとは言っていない。彼らはとにかく、イスラエル人及びイスラエル国家を滅ぼしたい、と言っているのです。―
イスラエル以外の国のほとんどの人にとっては、これは政治的な、あるいは情報上の議論かもしれませんが、我々にとってはまさに「生か死か」の問題なのです。恐らく世界中を見回しても、これほどまでの脅威下で存在している国は、イスラエル以外にないのではないかと思います。(赤字筆者)

  上の、我々にとってはまさに「生か死か」の問題ですとの言葉をどう解するか。一神教的宗教の違いにうとい日本人の立場ではなく、イスラム教の中に生存するユダヤ教のイスラエル人の立場で想像しなければ、その脅威のほどは測ることが難しいだろう。

 2年ほど前にそうした緊張度の高いイスラエルの国防軍の高官と、武道の演武を通じて会話を取り交わしたことがあった。外務省関係者が、至誠館に案内してきた時のことである。

 はじめに紹介された時、尋常ではない印象を受けた。笑顔も見せず、冷たくこちらを見透かすような目付き――。

 どう対応すべきか戸惑ったが、過酷な軍務からくる冷徹さと捉え、至誠館武道の真剣さが、どう受けとめられるかに絞って、示威した。木刀の斬り結び、真剣での立合い。そして、他ではみられない女性の真剣を使った技を披露した。

 20分ほど時間が経った。実践的な軍隊訓練に劣らないほどの緊迫感が出て、手応えは充分あった。こちらの武道説明に対する態度が変わった。冷たい顔つきに興味深さが出てきた。「よく訓練されている。女性の剣もよかった」との言葉が返ってきて、相好もくずれ、打ち解けた。

 外務省関係者は、あの高官は実戦のたたき上げで、会議では厳しい顔つきを崩さず、笑顔を見せることはないのにとその手応えを喜んでいた。緊張度の高い真剣の演武で、実戦闘のプロの意識に興味を惹き付けたといえよう。

 特別対談に話を戻そう。対談相手の鈴木氏から、日本も先の大戦では国家存亡の危機を経験したが、戦後の日本は、米ソ冷戦時代、民主主義と自由経済を守るアメリカの核の傘≠フ下に安住し、その結果、切羽詰った状況を経験することなく、国家として危機に対する鋭敏な感受性と瞬発力を養う機会もなかったとの説明のあと、

 イスラエルは一九四八年の建国後、国家生存のため、アメリカの核の傘に入ることを考えなかったのですか

 との質問を向けられた。グリーン氏は次のように答えた。

 イスラエルは建国当時から、アメリカのような超大国とは一線を画して独自路線を歩むという基本戦略をとってきました。これが現在も続いていて、政治的にも心理的にも、他国の傘下に入るという選択に対しては、躊躇があるのです。先に述べたように、もし自らが選択した陣営、同盟が間違いであった場合、国が滅亡するという取り返しのつかないコストを払うことになるかもしれないからです。

 この言葉は、ことさら昨今の日本を非難しているのではない。彼らの国防意識からすれば自然と出てくる判断であろう。それは次の言葉からも明らかだ。

 私はイスラエルがアメリカの言動に全く注意を払わなくてもよいと言っているのではありません。アメリカはイスラエルにとって最も重要な同盟国で、軍事的にも経済的にも多くの支援を受けています。これは非常に重要なのですが、私が言いたいのは、イスラエルは戦後の日本のように自国の防衛を他国に委ねることはしてこなかったし、今後も委ねるつもりはない、ということです。

 これらの言葉は、自国の防衛を他国に委ねた戦後の日本を揶揄しているわけではなく、配慮した面もあるが、こうした比較を通して日本人の自立性の欠如を明らかに知っておくことは、重要だ。

 今夏8月、次の参議院選挙に向けて、憲法改正が争点となってきて国民意識が大きく動き、変革の時期がきているが自主憲法制定≠ニは、日本人の自主独立の精神性確保であることは特に銘記すべきだろう。(い)

-大和心トップに戻る-

サイトマップ お問い合わせ Q&A 明治神宮外苑 明治神宮の結婚式 刊行物の御案内 崇敬会について 武道場 至誠館 国際神道文化研究所 宝物殿 明治神宮へのアクセス 明治神宮の自然、みどころ ご参拝されるかたへ 祭典と行事 明治神宮とは トップページへ 最新情報 至誠館の歩み 図書紹介 入門案内・施設概要・地図 コラム「大和心」 武道とはなにか 寄稿「私と武道」 海外要人の来訪 各課の鍛錬時間 年間行事とお知らせ 国際交流 至誠会(門人の会)便り