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コラム「大和心」

『体験、体感』を重視したポーランド講習

 この夏は、ポーランド北部の都市プォツクとロシアの首都モスクワで武道セミナーに参加した。プォツクでのセミナーは、国際至誠館武道協会(略称=ISBA)主催による第1回国際武道講習会として、「現代社会と武道の関連性」というテーマを掲げて開催された。

 セミナー全体を通じ心がけたことは、神道と武道を『体験する、体感する』ということ。往々にして外国人は、きわめて熱心で真面目ではあるが、知識先行の頭でっかちになりがちだ。神道儀式も、稽古も、彼らが説明を好むのはわかっているが、できるだけ知的理解によらないで感性を働かしてもらいたいとの理由から話はできるだけ短くし体感を妨げないように心がけた。

 『体験、体感』を得れば次には『体得、体顕』という段階になる。この『体顕』こそが、このセミナーのテーマである「現代社会と武道の関連性」の答えであろう。武道の稽古を通じて体得したものを実際に社会で活用し、より良き社会の構築に貢献するということだ。それは同時に、明治神宮至誠館武道の目的である、健全なる日本精神による健全なる社会建設のための活動となる。

 その『体顕』のためには『体得』が必要だ。『体得』とは単に体で覚えるということではなく、心身一体となって正しきを得るということである。知的理解でも一定の行為は可能であろうが、それだけでは身体・生命を犠牲にしても正しき行為を実行する気概は生まれてこないだろう。知的理解であれば『体験や体感』は必要ないが、それは、理論的弱点に遭遇すれば、たちまちにその力を失う。

 これに対して、『体験、体感』というプロセスを踏むということは、理論を越えた正しさを実感として味わうことである。「清々しい」「気持ちがいい」「うまくできた」「良い感じだ」という体験・体感である。それによって、自信を持って「これは正しい」というものを得る。この確信こそが、いざというときの力となるのである。



神棚を中心に心がひとつになったロシア講習

 続いて、モスクワに飛んだ。ロシアでのセミナーは、国際至誠館武道協会主催のセミナーとは直接関係なく、至誠館門人(故人)が指導したロシア国内の各道場との間の縁で今回初めて開催の運びとなったものである。

 ロシアでのセミナー開催に当たっては、現地に赴いて問題があることに気がついた。神道の御祭りである。セミナー参加者は、皆礼儀正しく武道に対する深い造詣があるのだが、大多数の人が敬虔なるロシア正教徒であった。

 じつは、我々の通訳をしてくれたユリアさんも、至誠館にたびたび稽古に訪れているヴァレリアさんの道場で5年も稽古をしていたそうだが、至誠館で稽古して帰ったヴァレリアが道場に神棚を置いたことが理由でヴァレリア道場での稽古を止めたということであった。

 こうした状況を踏まえて、セミナー開催前に、参加者全員に神道と武道のかかわりについて説明することが必要であり、さらに言えば、それこそがこのセミナーの最大のテーマであると感じた。最初に、各道場主を集め、神道と武道の関係、セミナーでお祭りをする意義を次のように説明した。

 祓(はら)い清めた道場に、神籬(ひもろぎ)を立てお祭りをする意味は、その土地の神、参加者の信仰する神そして明治神宮の御祭神をお呼びする所を設け、神々をお呼びする。そして、神々の御前で正しき心を練武することが武道の本旨である。

 生まれた土地や伝統文化が違う人々がそれぞれ異なる神を信仰するのは当然のこと。それぞれが信仰する神々に、お互いに敬意を払い、神の心を我が心として練武に励むからこそ、日本の武道には包容同化・平和の精神が生まれるという話をした。

 同様に、セミナー開始当日、お祭りの前にセミナー参加者全員に対して同じ説明をした。その後、全員で道場を清め、太刀でお祓いをした。

 結果は、神棚を中心に参加者全員の心が一つにまとまり、清々しいセミナーとなった。通訳者のユリアさんは「この稽古には祈りが感じられる」「心の明るさ、純粋さに満ち溢れていた」「(彼女が知っている)参加者が、これほど美しい笑顔を見せたことを今までみたことがない」との所見を述べてくれた。私は、日本の神道と武道の真の平和の力を実感し、あらためて、日本の伝統文化のありがたさを思い知ることができた。(あ)

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