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コラム「大和心」



 明治天皇 御製
敷しまの やまとごころを きたへよと
     神のつたへし つるぎなるらむ

  輝かしくも誇るべき明治維新の原動力となったのは、西洋列強の圧倒せる武力に屈せず独立不羈(ふき)の道を進んだ尊皇攘夷の精神気概であった。

 尊皇とは、国の中心、歴史の中心を堅持して失わない精神で、攘夷とは、この尊皇を核とした国体、伝統を危うくする思想文化を拒絶する精神である。

 攘夷を必要とする国家的危機には、尊皇心は益々、統合の力を形成して強くなるという関係である。両者相俟って、変革、維新の力となる。

 現代は、この尊皇攘夷の精神が衰えて、消えかかっている国家的危機状況だと指摘する人もいる。だが、消えたように見えても無くなったわけではない。日本人の魂の中に隠れた形になって見えない状態にあるということもできる。

 顧みれば、昭和20年の未曾有の敗戦と被占領で、日本の国体は破壊され、皇室の尊厳が深く傷つけられ日本人の心は大きく変わった。だが皇室のご存在は、厳然として残され、今も国家国民の中心にあらせられることこそが重要だ。

 そこで「尊皇」を、皇室への敬慕、親しみの情として捉え、「攘夷」を皇室への不敬の言辞、不遜の態度に対する国民の憤り、不快感で計るならば、戦後六十有五年を経た今日においても、“尊皇攘夷”の精神は、なお脈々と生き続けていると断言してよいだろう。

 このことは昨年の秋、現出した皇室に関する出来事からもうかがうことができる。

 最も慶賀すべきは、今上陛下のご即位20年の奉祝行事に顕著にみえる。

 まさにこの時に、美わしき日本の国ぶりが描き出された。提灯をかかげて首都の夜室に高らかに万歳を唱える幾万という国民を前に、皇居二重橋から手をふられてこたえられる天皇、皇后両陛下のお姿に、君民一体のよろこびを実感し心を強くしたのは筆者のみではあるまい。



11月12日国民式典の様子



 そうした光景をマスコミ各紙やTV放送は大々的に報じた。

 だが、このマスコミの報道姿勢は、35年前の昭和天皇のご在位50年の奉祝と比較すると隔世の感がある。

 実は、この時国民の声を代弁すると称するマスコミは、幾十万の国民の心からの奉祝の思いを無視し、報道しなかったのである。

 この時の奉祝は、浅草橋と新橋の二地点から出発し、全国から集まった10万とも20万ともいわれた人々が500人ほどの挺団を組んで波状的にパレード行進した力強いものであった。2時間もすると合流点の日本橋附近が参加者であふれんばかりになり、流れの勢いで皇居に向かおうとの動きになった。それを押し止めようとする警察隊、あわや衝突という事態にもみえた。

 奉祝実行委員会は皇室にかかわる運動の品格を保ち冷静な判断を下し、予定通り流れ解散となった。しかし、「皇居前広場で万歳を唱えたい」との熱い祈りは残った―。

 10年後のご在位60年では、前回を上回る人々の参加で熱気に包まれた。同じ奉祝パレードのあと、前もっての警察との交渉で、皇居への提灯行列が実現し、堰(せき)を切ったように皇居へと流れた。皇居前広場が、提灯のあかりでうめつくされた頃、二重橋にあかりがともった。

“昭和天皇がお出ましになられているようだ”の知らせが広がって、奉祝者の感激は最高潮に達した。

 翌日、新聞各紙は、二重橋で手をふられる昭和天皇の写真を掲載して、そのことが確認された。
 その後は、周知のごとくの全国民注視の中で昭和天皇のご不例の期間が続き――、
昭和64年1月7日の崩御。そして御大葬へ。
 平成2年、今上陛下の即位式と大嘗祭の執行。
 平成12年、ご即位10年の奉祝行事。

 そして、ご即位20年の今回の奉祝とつながって行った――。
 こうした君民一体の魂のむすび合いという感動的な光景を評して、マスコミや有識者は、憲法の“象徴天皇”は定着しているなどと表現するが、いかに冷たく表層的な言い方であるか。日本民族の魂の底流には、長い長い歴史伝統にもとづく地下にうごめくマグマともいえる天皇意識が息づいていて、時の権力者たちの軽挙妄動に事あるごとに噴き出して時代状況にあった形を作り出す。

 昨年11月米国オバマ大統領を仰えられる天皇陛下のなんとも優雅なる接遇の英姿。一方、12月、中国副主席の来日の折、民主党の首相と幹事長が、天皇の公的行事のルールを踏みにじって非礼、強引にも天皇陛下への謁見を強行した問題では、いみじくも政治権力者の傲岸(ごうがん)さを露呈したが、尊皇の意識が高まる中で、国民の正気が張って攘夷の不快感が噴き出し反撥(はんぱつ)した出来事になった。現代のうごめく政治状況に、尊皇攘夷の精神が形をかえて動き出した証といえよう。(い)

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