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コラム「大和心」

 1月15日、大都市ニューヨークで起きた旅客機の不時着事故で、155人の乗客全員の安全を獲保し、「ハドソン川の奇跡」を起したUSエアウェイズ機のチェスリー・サレンバーガー機長(57)の短くも重みのある手記が載った。(『ニューズウィーク』2/25)

 そこには長い経験にもとづく自信、訓練どおりに人命を尊重して行動した使命観、決してあきらめないとの不屈の気概がにじみ出ていて、不安や危惧や不信におおわれている現代人に信頼と勇気を与えることばがある。

 1月15日、コックピットの中で私は目の前の問題を一つ一つすべて解決していけるという自信があった。副操縦士のジェフ・スカイズと私は、旅客機のパイロットなら誰でもやっていることをしたまでだ。訓練どおりに、人命を尊重して行動したのである。
 飛行機は突然言うことを聞かなくなったが、それでも機内の全員の命を救うよう努めることが自分たちの義務だと思っていた。私たちは決してあきらめなかった。(赤字は筆者


 ここに言う、「一つ一つすべて解決していけるという自信」は、どこから生まれてくるのか。日頃「訓練どおりに、人命を尊重して行動」してきたからこそ、いざという時に発揮された自信と行動であろう。

 しかし不安は出てくる。だからこそ「決してあきらめなかった」と強い心意気を記したのだろう。「私たち」とあるのは、機長自身自分を含めて、乗務員に対して、「決してあきらめるな」と激励しつつ、指揮したことをうかがわせる。そのことを突き詰めると、自分のこれまでやってきたことを信じてあきらめず、行動せよという意味に解せる。

 マスメディアは、「ハドソン川の奇跡」と報じ、英雄とたたえ、ハドソンの英雄にささげる歌までできたという。しかし当の本人は冷静に内省し、周囲の声をきいている。

 自分が有名人になったとは、今も思っていない。最初のころはとくに、自分の置かれた立場に違和感があった。新たに手渡された「英雄」という冠がどうしてもしっくりこなかった。その称号は私にふさわしくないという思いがずっと抜けなかった。


という。新たに手渡された「英雄」という冠にしっくりこず、その違和感が何からくるのかを考えている。英雄についての捉え方が違う。

 「英雄」とは人命救助のために炎が燃え盛るビルの中に飛び込む決意をするような人のこと。私の場合は違う。事態が私たちの上に降りかかってきたのだ。
 私は自分で選んでああいう行動を取ったわけではない。だから―自分に対する賛辞とは考えないようにしようと最初は思っていた。

と綴っている。ここで何が英雄かの英雄論を述べることはしないが、「自分で選んでああいう行動を取ったか否か」の判定規準は重要だ。自らの意志が根本となる。

 サレンバーガー機長は、「私は自分で選んでああいう行動を取ったわけではない」「事態が私たちの上に降りかかってきた」ので、躊躇なく訓練どおり行動しただけで、機長自身が考える英雄ではないと言っていることになる。そして、英雄の冠をのせられて自らの意志と違った状況になってしまったのだが・・・・その理由について―。

あのニュースが強い感動を与えたこと。人々が明るいニュースを待ち望んでいたこと、もう一度希望を感じたいと切に願っていた―新旧のアメリカ大統領の交代時期にあたっていたことも関係があったのだろう。

 あのニュースが強い感動を与えたこと。人々が明るいニュースを待ち望んでいたこと、もう一度希望を感じたいと切に願っていた―新旧のアメリカ大統領の交代時期にあたっていたことも関係があったのだろう。

と自らのおかれた立場を述べている。

 英雄とは何かを考え、英雄という賛辞にうかれずに、なぜ英雄という冠をかぶったかを冷静に考え てみて、社会情況が、そうした英雄を待望していたからと分析している。

 人命救助のために炎が燃え盛るビルの中に飛び込む決意をするような「英雄」という賛辞はさけるにしても、武道的に言えば、その「道の達人」ということはできるだろう。その達人が、行動のあとをふり返って、次のようなメッセージを発している。言行一致した力強いことばとして私たちの心に響いてくる。(い)

 どんなに状況が不利で、与えられた時間が乏しくても、
打てる手はどこかにあるはず。
どんな苦境にも脱出ルートはきっと見つかる。

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