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コラム「大和心」

 昭和48(1973)年10月、総合武道場至誠館が開設され、日本精神の涵養を核心とする伝統武道の実践教育が始められて、35周年となる。

 この間、累積門人数は、8300名を超えた。その8分の1の人々が日常的に修練に励んでいるが、第二弓道場が全日本弓道連盟の中央道場となっていることから、年間の弓道愛好家の利用者は数万人に達していて盛況を呈している。このほか11月3日の例祭には、武田流の流鏑馬、古武道振興会等による二十数流派にのぼる奉納がおこなわれていて、武道人気の近況がうかがわれる。


10月13日 35周年式典

 13日は、門人関係者ら300人が集まって記念行事がおこなわれたが、泉三郎氏による明治維新時の岩倉遣欧使節団を扱った「サムライマインドで創ろう! 美しい国 したたかな日本」の講演では、平成のサムライ待望論が論じられて刺激を受けたほか、『日本の伝統 魂をみがく武道 明治神宮至誠館』の記念出版物が配布され、あわせて作成されて付録となった鎮守の森の自然音と武道修練のDVDが映写されて、至誠館武道の今が鎮守の森の静寂さとともに力強く描き出されて、参会者の注目を惹いた。

 記念出版の『魂をみがく武道』は、幕末維新の英才横井小楠の「魂を練る武」を参考に、畏れ多いことだが御製「國といふくにのかがみとなるばかり みがけますらを大和だましひ」からいただいた題名である。その内容は、現代の指標を失った日本の混迷と、無気力が反映されたもので、武道修練に一つの突破口を見出している。

 その状況は、明治維新前夜にも似ていて、伝統的な武道の復活が求められている。しかしそれらは性急に求められるものではない。

 まず維新回天の尊皇攘夷の精神気概にとぼしい現状をどう打破するか。
「今こそ変革維新のとき」
との時局認識が必要だ。その上で、
「日本武道の伝統精神を見つめ直す」
それは何も新しい創作を求めているのではない。日常惰性に陥っている武道≠、心あらたに再生して行く。

 


  真の武道とは、その修練とは何か――。
その辺を一語で言えば、真の伝統≠ノ帰るといえるだろう。つまり、日本人としての高き貴き志を立て(理念の確立)、やりぬく(勝たねばやまぬ)気概を養い、その目標を達成していく総合力の基盤を養うことである。

 ありがたいことには明治天皇、昭憲皇太后の尚武にかかわる御製、御歌には、武道鍛練の心が端的に示されていて、道場神棚の横に月をかえて掲げられ私たちを激励されている。その一部を紹介すると、

御 製
身にはよし佩(は)かずなりても剣(つるぎ)太刀
とぎな忘れそ大和心を

ゆみやもて神のをさめしわが國に
うまれしをのこ心ゆるぶな

敷しまのやまとごころをきたへよと
神のつたへしつるぎなるらむ


御 歌
みがかずば玉の光はいでざらむ
人のこころもかくこそあるらし

たのもしきなにはあれども戦に
勝たではやまぬやまとだましひ

 もしこうした鎮守の森にひそむ日本文化の底力を発揮して、武道の精神が国内のみならず海外にも普及して世界に誰もが共鳴する公明正大なる正気が漲(みなぎ)って行くならば、国の内外に大いなる影響を及ぼして行くことだろう。「ことしあらば火にも水にも入りなむ」と心をさだめそれを実現する気概を、武術の修練を通じて養い育てて行くならば、それこそが、「やがて(不撓不屈の)大和魂」になって行くという誰にもわかりやすいお教えにも通じて行く。

 地球規模の気候変動や自然破壊、国際紛争やテロ事件の多発と、国内治安の悪化による人心の荒廃は、まさに長い伝統に培われてきた武道が実戦≠ノ役立つか否かの真価が問われているといえる。思い返してみるといい、2001年9月のニューヨークの同時多発テロやその後の紛争や風水害で夥しい生命が失われた時のことを! これらの世界の現状を直視せず、その対処を考えず、心法を工夫せずして、真の武道の修練ということができようか。

 もし、日本民族の真の伝統文化であるならば現代の危機難局にあってもそれらをのり越えるだけの力を発揮しうるだろうとの逆の問いかけもできる。しかもこの難局は、単に日本一国、日本人のみに直面する状況ではない。全地球規模で協心努力≠オて行かねばならないもので、志を同じくし、連携をつよめて国際武士道≠実行するともいうべきものであろう。

 至誠館武道のめざすところは、幕末維新期の武士道とともに明治の御代に、日清、日露戦役で花ひらいた国際武士道の現代版ということができようが、それにはまず国民こぞって、明治天皇の大御心を体して、大和だましいをみがき、不抜の気概を養う覚悟を固めつつ、役に立つ武道を再生し、次代を担う国内外の人材を育成して行く必要があろう。

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