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コラム「大和心」


むすびの力

 7月31日より、ノルウェー(オスロより40キロのブランブ村)とギリシャ(アテネより290キロのカルペニシ村)の武道講習に出発するため、参加者20名が勢揃いして、渡航の安全を祈願したのは昨年と同様。今年は研修指導のための館長の奉納演武がおこなわれることになって、折しも前回でふれた至誠館の35周年記念出版の写真とビデオ撮りが重なった。

 めったにない奉納の機会に、ご祭神の大御心にそいまつり照覧頂くには、いかなる精神姿勢で臨むべきか。前週に、少年門人たちと北志賀に合宿し、雄大な志賀高原の自然と子供たちの純真な心にふれたことでその重い課題を、次の御製、御歌を奉納のこころとすることで覚悟が出来た。

御 製
敷しまのやまとごころをきたへよと
      神のつたへしつるぎなるらむ

國といふくにのかがみとなるばかり
      みがけますらを大和だましひ


御 歌
もゆる火のほなかにたちて草なぎし
      神のみつるぎたふとかりけり


 ここに示された三首の短歌には、日本の二、三千年の歴史が凝集されているといっても過言ではない。「神のつたへしつるぎ」「神のみつるぎ」は、神話のスサノオノミコトが八俣大蛇を退治したときに得た草薙の剣で、天照大神に奉献され、以来皇室に継承されている三種の神器の一つで、武を尚ぶ日本民族の象徴といえるものである。

 ご祭神は、この神のつたえし剣をもって、やまとごころをきたえよ、そして、国という国の鏡になるまでに磨き上げよと国民に諭されている。

 「もゆる火」の御歌は、古代の英雄、ヤマトタケルノミコトが東征の途次、焼津の原で火攻めの危難にあわれたときに、神のみつるぎをもって、火のなかに立って、弟橘姫を守られながら、草をなぎはらわれたことをお詠みになられている。

 炎の中に厳然と立って、草をなぎはらう雄姿がイメージされるが、照覧のときのこころ構えと技と体のあるべき目標がみえてきた。あとは実際に、その心が定まり、気迫が充ち、技がともなうかの問題となった。

 大前、中庭での武道奉納は稀な例である。座っての拝礼での視界は立礼の位置とは違っていて、神座、拝殿と流れ造りの建築の雰囲気から独特の緊張感が迫ってくる感ぜられる。

 正座、息吹き、気鎮めに始まって
 祓の太刀十本。そして八方を斬り払う。
次に、草なぎの神話から発想されたと想像しうる動きの最もはげしい"八荒(はっこう)の太刀祓い"は、真剣が手から飛び出してしまうほどの勢いに、さらに連続した獅子奮迅(ふんじん)の剣では、もてる力をふりしぼっての前払いと後払いの技となった。そして静の中の動の一閃(いっせん)の太刀を示威して、最後に祓の太刀の平らぎの剣で鎮めとした。

 ご祭神は、嘉し給うたのか否か―の問いには、回答はない―。だが、とにかくも大前での奉納一点に集中しえた充足感は生まれた。

  その後、二、三日の間を経て顧りみれば、御製、御歌の心を体し、正気を張り、邪気を払う"祓の太刀"を示しえたのではないか。果たして今の世にはびこる悪気を払えるまでの力となるかは、なお今後の修養如何―と自己採点してみた。

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