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コラム「大和心」




大都会に際立つ明治神宮の森

 東京湾のお台場の先に日比谷公園の5.5倍の広さのゴミの埋立地があるが、そこに明治神宮の森をモデルにした自然環境の再生を目指した“鎮守の森”をつくろうとの一大プロジェクトが動き出し注目されている。

 東京都の石原知事が中心になって、港湾局の管理する中央防波堤の内側を「海の森(仮称)」にしようというもので、去る10月22日には、建築家の安藤忠雄、宇宙飛行士の毛利衛、ヒマラヤのゴミ集めで脚光をあびたアルピニストの野口健の三氏が記念シンポジウムを開催、緑の東京募金を呼びかけたところ、多くの関心を集めた。

 シンポジウムでは「水と緑の廻廊で包まれた、美しいまち東京を復活」させようと、

1. 海の森(仮称)の整備
2. 街路樹の整備
3. 校庭芝生化
4. 花粉の少ない森づくり

が謳われている。ゴミの島の広さは全体で400ヘクタールあるが、そのうち87.9ヘクタールを森にしようとの計画である。もしこれが実現すれば、

海から都心に向かう風の起点になると共に、CO2を吸収して地球温暖化を防ぎます


 と、都側はアピールしているが、森づくりの効果は90年前に国家国民が一体となってつくりあげた明治神宮の森が現在の大東京に計り知れない影響を与えているように、見えない効果も大きい。

 「海の森」というのは、まことに興味のわかない名称だし、「緑の東京募金」というのも二番煎じで新味のないネーミングだが、日本民族の英知、“鎮守の森”をイメージし、破壊された自然生態系を回復させようとの趣旨なら大賛成である。ただ、いま東京から世界に向けて発信する“森づくり”というのなら、心の再生の問題として真剣に取り組んでほしいものである。

 武道の精神から言っても、自然の育む心は最も大切なものである。武士道もそこに根源するといってもよい。

 日本の武道(武人)の力の本源は、ヤマトの地に生まれ育った人々のこころ、あるいは魂と言ってよい。郷土、国土が心を育む。

 普段は、和魂(にぎみたま)といわれるように、おだやかでやさしい心が、時に必要となれば、荒魂(あらみたま)となって激しく強い心となって働くと信ぜられてきた。

 この心と魂を生み、育んできたのは、わが日本の美しい自然である。その情景は、古代の英雄、ヤマトタケルノミコトの最期の国しのび歌にも詠じられている。


  倭(やまと)は国のまほろば
    (大和は国の中でもっとも秀でている所である)

  たたなづく 青垣
    (山々が重なり合って青い垣根のようだ)

  山籠(やまこも)れる 倭(やまと)しうるわし
    (山々に囲まれている倭の国はほんとうに美しい)
                        (『日本武尊』上田正昭著)


 このやまとの山々の青垣――日本の自然を美しいと感ずる心が、草薙の剣を託されて戦いつづけたヤマトタケルノミコトの比類なき戦闘力の源泉ということができるだろう。かけがえのない心を敵から守るものこそ剣なのである。

東京湾を臨む


 自然の森の再生こそは、見失った現代の日本人の心を取り戻すための重要な施策ともなるものである。そこから真の防衛力(戦闘力)が生まれてくる。

 近代日本の都市化は、そうした美しい自然を破壊し、かけがえのない緑をなくしてしまった。“世界に誇る大都市”東京の姿は、郷土を失った無残な姿だ。心が失われ、人間関係がすさんで、弱肉強食の世界となり、治安の悪化が進んでいる。かろうじて皇居、明治神宮、靖国神社、新宿御苑、浜離宮など皇室に関わる諸施設の自然が残され、都民の心の安らぎとなっていて、まことに貴重なる聖域となっている。

 東京は、江戸時代から世界有数の人口密集地として発展してきたが、循環の自然生態系を失うことなく、幕末維新期には和魂の健在ぶりを示した。しかし近代化という熾烈(しれつ)な国際競争の中で、洋才を駆使して戦ううちに、和魂を育む自然が犠牲となって、こころを見失い、現代に至っている。

 ゴミの島の鎮守の森づくりは、現代人の身勝手なエゴを祓う社会運動でもあるが、次の世代に尊皇、愛国、敬神の心の種を植える平成の森づくりにもなっていく可能性も秘めている。

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