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コラム「大和心」

 

 

昨年、国際弓道連盟が発足したが、その設立記念大会が4月に東京・九段の日本武道館で行われ、海外16カ国から400名、これに国内弓道愛好者2000名が集まって、「和をもって世界を結ぶ弓の道」とのスローガンのもとに、弓道界の意気込みを示したのは壮観であった。

 またこの大会に先立って、至誠館を会場に海外参加者のための研修会が開かれて人気を呼んだ。競技大会ならともかくも、研修でこれほどの人々が一堂に会するのは初めてとあって、全日本弓道連盟の中央道場(至誠館第二弓道場)だけでなく、全館施設を使って、8会場に分かれて講習した。日本人より一回りも二回りも大きな和服姿の弓を持ったグループの移動、通訳、意思疎通などはじめは混乱がみえたものの、恵まれた環境と空間に自然と緩和されて、盛況裡に終わった。


 

 柔道は50年前すでにオリンピック競技となった。剣道の世界選手権は1970年が第1回で、今では13回目となり、44カ国が参加している。相撲にも国際連盟ができていて86カ国が加盟し、次の東京オリンピック(?)での種目入りを目標としている。空手や合気道の海外普及もめざましく、日本発の武道振興の波は、よきにせよ悪しきにせよ大きな広がりがあって、武道修練の機運の盛り上がりを見せている。

 この広がりの要因、つまり武道の文化力の根底は何なのであろうか。

 武道は、野球やサッカー、ラグビーなど楽しむスポーツとは違う。肉体の訓練だけでなく精神性を求めている。大勢がスポーツ競技化する中で、古式伝統を重んずる動きもある。それらの中で国際化といっても礼を重んじ、姿勢、心法、静寂を重視する武道修練を求める人々も多い。

 世界いずこの国、いかなる民族でもそれぞれの歴史伝統に応じた戦闘技術があり、保持・発展してきたと思うが、なぜに今、日本武道の修練がこのように海外の人々から求められるのだろうか。その心の底を知ることこそが大事ではないか。




 千葉の野田にある忍術道場が盛んで、子供の躾(しつけ)や女性の護身用としての武道の効用、企業戦士用の武士道の心得講習が人気を呼んでいるという。これらは武道修練の本質でないにしても運用の一つで、そのひとつひとつを掘り下げてみれば肉体的訓練、技術の練磨から心の持ち方、工夫となっていき、長い時間をかけての精神性の探求、人格の陶冶(とうや)となって、それらの行き着くところは、こころの探求、修養ということになる。日本人の武道であれば単に“こころ”といってよいが、世界各国、国際を意識すれば、日本のこころ――やまとごころという表現になろう。

 これを人間の生命との関係でみると――。武道の極意は、生命を持つ人間の「死の安心を得る」ことにあるともいえるし、また人間の意志と捉えるならば、「打ちてしやまぬ、死して後やむ気概」との表現もできるだろう。つまり「心の不安を払拭して、死の安心を得て、己の意志を貫いて悔いなき人生」にやまとごころの本旨があると言えそうである。

 武道の修練は、そうした心の探求であるし、逆に言えばそうした心の修養から生まれてきたのが武道といえるだろう。

 グローバル化の中での伝統武道の国際化ということは、根本となるやまとごころに遠ざかることではない。かえって、自らのこころをさらに探求して共鳴する心を広げることなのであろう。

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