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コラム「大和心」

北の核の脅しに屈するな

 民族の心は、温和で正しくとも、敵の狙いにうとく、攻撃に無防備ならば容赦なく襲われて追い込まれていく。おだやかな民族は、はじめ無防備で無力に見えるが、敵の策略や攻撃に苦しめられる中で鍛錬されて、不撓不屈(ふとうふくつ)の強さをもって、生き残る。だが歴史は繰り返され、無防備な状態に戻ってしまう。

 浦安の国、日本の気候風土に培われてきたわが民族の歴史は、よきにせよ悪しきにせよ、そうした経緯をたどってきた。武道はこうした民族性の中で自然発生的に生まれ伝えられてきたものだが、新たなる危機に瀕して対処するには、遅れをとり、大なる犠牲を生ずる弱さをその生まれの中にはらんでいる。

 10月9日の北朝鮮の核実験の結果は、失敗したとの観測が強いが、核武装の目的を秘めた動きであることは明らかで、7月のノドン、テポドンミサイルの発射実験とあわせて考えれば、核弾道ミサイルの実戦配備も時間の問題となっている。

 米国の中央情報局(CIA)が、97年に「北朝鮮は五年以内に崩壊する可能性が高い」と予想する中で、核装備に走る金正日政権の実情はどうなっているのか。核実験の真の狙いはどこにあるのか、いろいろの憶測が飛び交っている。

 アメリカ、中国、韓国そして日本へ向けて、中でも無防備経済大国・日本への脅しが最も効果が大きいとみられている。

 だから外国の識者からは、日本核武装論が出てくるのだが、渦中にある日本人自身の”選択“”議論“は、第三者的といってもいい状況。そして国政を担う為政者側の国家独立の精神気概空白が明らかに見える。

 実験直後の国会答弁で、安倍新首相は、次のように述べている。

 日本に対する攻撃は自国への攻撃であると宣言している米国の存在、日米同盟に
よる抑止力は揺るぎない。ブッシュ大統領との電話会談でも、大統領は「抑止力は
揺るぎない」との話をされた。まさに北朝鮮、世界に向かって発信したものだ。
(10月13日付『朝日新聞』)

 これが拉致、靖国、教育そして憲法改正の国家の重大事で国民の期待を担って登場した安倍首相の言葉なのだ。

 「ブッシュ大統領が、日米同盟の抑止力は揺るぎない」と保証してくれたと、日本国民に安心を呼びかけている。本来なら、「北の核の脅し」に対処しうる防衛策を速やかに提示し、無謀なる脅しに屈しない精神気概を鼓舞することこそ首相の役割ではないか。
このような気弱な精神姿勢は、国防上からも、国民の教育上からもよろしくない。

 よしんばそうした超大国追随の流れを追認せざるを得ないとしても、米国大統領の核の傘の保証、日米同盟の抑止力というものが、日本政府が頼りきるほどに、大磐石といえるものかどうかについても議論をする必要があろう。

 現にイラク問題で、ブッシュ共和党政権は、11月の中間選挙で苦境に立たされていることは連日の報道の通りだろう。

 2001年9月11日以来、ブッシュ大統領がテロ戦争を宣言して米英軍でアフガニスタン侵攻、イラクのフセイン政権を打倒したまでは快進撃といえたものの、その後のイラク情勢は悪化の一途をたどって、テロ戦争も拡大して窮地に立たされた観があり、石油大国イランの核問題までかかえることとなった。

 この間のアメリカの動きを最も注視していたのが北朝鮮で、その弱みをつかれて核実験まで“実績”を積み上げさせてしまった。

 北朝鮮問題での“劣勢”を挽回し、北朝鮮軍部の認識とそこから生じるかもしれない“暴走”に歯止めをかけようとしたのが10月24日のペース米統合参謀本部議長の記者会見とみられる。産経新聞のワシントン電は次のように伝えている。

ペース議長は核実験後も「北朝鮮軍の動静に変化はない」としながらも、「北朝 鮮の指導者の意図はわからない」と警戒感を示した。
その上で「米国の潜在的な敵は、わが国が自国の利益を守るため明日にでも圧倒的 戦力を展開できる能力があることを見誤ってはならない」と北朝鮮を牽制した。
ベース議長は、軍事施設を限定的に攻撃する精密誘導兵器の多くをイラクで使って いるため、北朝鮮への攻撃はそれ以外の兵器を使うことになり、民間人の被害が増す可能性があり、「第二次世界大戦や朝鮮戦争のような状況になる」との見方を示 した。

 全世界の軍事予算の50%(中国は5.7%)を占めるアメリカが、他国に比して圧倒的な軍事力をもっていることは周知のこと。だが恐ろしい仮想だが「第二次世界大戦や朝鮮戦争のような状況になり民間人の被害が増えると予想される中で、米軍と北朝鮮軍とでは、どちらがどのような選択、決断、実行ができるのか。

 北朝鮮は、そうした際の米国(大統領、議会、軍隊)の強さと弱さを見ていて、瀬戸際の脅し外交を繰り返している。

 ペース議長は、北朝鮮軍の米国軍に対する弱みの認識に対して、隔絶せる軍事技術力の強大さを誇示して、いわば“脅し”に対する“牽制”を行ったといえるだろうが、果たしてどれほどの効き目があるのか。その動向に注目したい。

現下の武道の修練は、無謀なる核の脅しに屈しないだけの国民の精神気概を養うことであるが、一国民としてわが国国防体制の現状を知って、周辺国に侮りを受けない力を蓄えるべく政治を動かしていく運動も必要である。(武)

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