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コラム「大和心」

武道のむすびのちから -その源泉は何か-

 前号で報告したが、ポーランドのプウォツクに次いで、イギリスのウェールズでの研修の成果が寄せられている。ポーランドからは毎年の行事開催の希望が出されているが、ギリシャとフランスからも魅力的な候補地を挙げての夏期講習開催の申し出が来ているほか、ドイツ、イギリス、ギリシャからのグループ研修来日の希望が寄せられている。

 これは私たちの武道修練の心と、海外の人々の武道修練に求める心とがかなりいい状態で共鳴し合っているといえるだろう。

 そうして、武道を通して心と心とが結び合う中で、次に何が生まれてくるのか。しばらくは両者共に協力し合い、誠を尽くして新たなるものを生む努力が必要だろう。

 武道を指導する立場から言えば、修練なら日本に来てもらうのが最も効果的だ。少人数で来日し、一週間でも集中的に稽古すれば、5〜6日目には顔つきが変わり、顔色もよくなり、姿勢が変わってくる。彼ら自身がそれをはっきりと自覚するほどに上達して効果が見えることは実証済みだ。

 なぜ5〜6日かは、意識(心の持ち方)と稽古法と接し方――中でも、「心を下腹丹田におく」(重心の置き方)訓練が効果を表す。あとは、水、食物そして自然環境といえようか。

 しかし現実には、日本への往復の航空賃、滞在費など経費がかさむ。同じヨーロッパ圏内なら移動や寝泊り費用、食費など安くてすむ。だからヨーロッパ各地でその地のリーダーが主催する講習に年に何回か参加することになる。ただここにきて、その講習内容に変化が出てきた。

 ウェールズでの指導者会議では今後の講習ゼミ開催について話し合われたが、率直なる要請が寄せられた。年に大小一回ずつ、各国持ち回りの開催が提案され、至誠館からの指導者派遣が要請された。

 これまで、至誠館の指導者派遣はごく限られた親しい海外の友人の要請に協力してきたという状態で定期的ではなかった。

 それがここ数年で大きく変わってきた。外国から個人やグループで来館し、集中して稽古する人たちが増えたし、派遣指導を要請されることが多くなった。

 これらの動きは、国内外の情勢の変化でサムライ日本や武士道精神の復活が叫ばれる中で『武道』についての考え方、『修練』の内容が次第に変わってきたことを示している。

 一語で言えば、スポーツ武道、体育館的武道から武士道精神を探求する本来の武道への回帰である。これは至誠館が開設されて以来、三十有余年着々と実践し謳ってきた、日本の伝統文化に基づく武士道精神の涵養の趣旨と一致する流れである。

 明治神宮武道場の至誠館でおこなう武道の修練には、必ず神事がともなう。

 海外での武道指導においても同じだ。

 高き強き神々への祈り、祖先への崇敬と自然への畏敬の場としての神棚が正面に据えられている。海外での武道の修練では、それが戦闘精神を高揚するものであればあるほど、その地の“産土神(うぶすなのかみ)”や民族の“武神”に対する礼を尽くさねばならないことは当然だ。

 残念ながら、現代ではそうした海外の神々が見えなくなっている。しかし神話の神々に憧れ、祖先を思い、“自然”を大事にする意識はわずかに残っていて、そこに心の安らぎを感じとっている。

 日本の神道と武道との姿は、今は目に見えなくなった彼ら自身の神道の世界(魂)を感じさせるものになっているのではないだろうか。

 武道普及の深層は、「神と武道と修練」の実修で、彼ら自身の心のよりどころを感じ取っている証といえるかもしれない。

 フランスのパスカル・ドゥルション氏からの武道講習開催の動機は、「フランスの武道界」に“霊性の息吹(breathing of spirituality)”をもたらしたい、というものであった。

 《先の大戦で失われてしまった、フランスのよき伝統と精神を、日本の武道の練成を通じて、次世代の若者たちに回復せしめて、未来への誇りと自信を与えたい》

との熱き思いを寄せてきた。至誠館の武道をそのように受け止めて、次世代への懸け橋にしようとの志は、私たちの志と一致する。大いに協力したいと思う。

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